芦別の歴史的建築物を解体する
Posted at 07/05/15 PermaLink» Comment(0)» Trackback(0)»
仕事柄、建物の解体工事もおこないますが・・・
古い建築物には風情がある物も多くあります。
「旭川の歴史的建築物の保存を考える会」と云うところにも入っています。
建築は「空間」を表わし、そこに歴史と云う「時間」の要素が加わると・・・
中世ヨーロッパの王侯貴族の庭園には、わざと朽ちた遺跡を模した建築物を造って配置し”時”を演出したものがあります。日本の茶室建築のワビ・サビにも通じますが、「時」が(上質なワインを創り上げる様に)「空間」を熟成させるんでしょうね。(もちろん朽ち果てさせることも)
旧芦別開拓農協 家畜診療所
これは昨年解体した建物で、昔、開拓農協の家畜診療所だった建物です。今と違い馬や牛が動力源であり資産だった時代です、芦別の木材・農産物の運搬、農耕、牧畜などの重要な部分を担い、今で云えば、動物病院と自動車修理工場を足した様な?重要な施設でした。
木造一部2階建、切妻、外壁は下見板に上部は漆喰塗り、正面の玄関を入ると事務所、うしろは獣医師の住宅部分、二階はホールになっており、上げ下げ窓がいかにも擬洋風で当時は威厳に満ちた立派な建物だったと思います。小屋組は和小屋。左側のすこし奥まった処が土間になっていて診療室、馬や牛を固定する鉄輪が残っていました。(ここはトラスが露出)、さらに左側の手前にせり出した場所が小家畜診療室、その奥には薬庫と資料室が、さらにその後ろには別棟で使用人住宅。H型の平面をしており、奥の住宅部分の中庭沿いに縁側、廊下がつづきその奥に便所と云う平面でした。鉄板の下は柾葺で、煙突はレンガ積でした。それでも戦後まもない頃の建物でしょうか?(芦別にはそれ以上古い建物はあまり残ってません)またひとつ昭和レトロが消えました・・・。
平面図を作成し保存すると共に、芦別の星の降る里百年記念館のH学芸員にもお渡しまし(た)。